吠える理由というのは、犬が100頭居れば100通りの理由があります。

恐怖に対して吠える犬、威嚇して吠える犬、興奮して吠える犬、何かを要求したくて吠える犬。認知症の老犬の様に、理由も無く吠えてしまう犬もいますが…基本的には何かしら理由があるものです。

100通りの理由には、100通りの答え。その犬に合った改善方法を見付ける事が大事です。

犬は何故吠えるの?

吠える理由は犬によって様々です。チワワなどの小型犬の様に、元々吠えやすい犬種もいます。

ですが、吠える犬の多くが、生活や環境に不満や問題を抱えている事が多いです。家族や暮らし方からくる問題行動の代表格である「吠え」。改善させるにはどうしたら良いのでしょうか。

吠えの種類を知る

人間の言葉が通じませんから、何が理由で吠えているのかを完璧に見極めるのは難しいでしょう。しかし、吠え方によってある程度の判断は可能です。

要求吠え

オモチャを投げてほしい。ご飯、おやつが欲しい。等犬が優位に立っていて命令している場合が多いです。

高い声で「ワンワン」と鳴きます。

警戒吠え

散歩中に人や犬に対して吠える、来客に吠える。嫌な事やいつもと違う事が有った時に吠える。

「ウー」と低い声で喉を鳴らし、しっぽをピンと張る、ゆっくり左右に動かす、など。

親元を早く離れた為、社会性が養われていない犬に多く見られます。それは、自分のテリトリー内に他の存在が入ってくることに慣れていない為恐怖から警戒するからです。

興奮吠え

来客時に吠える場合、警戒吠えの他に興奮吠えの可能性もあります。

電話が鳴った時、来客が来た時、飼い主さんは知らず知らずにテンションが上がった行動を取りがちです。

パタパタ走って行動する。「ハーイ!」と普段と違う高い、大きい声を出す。

例えばお皿洗いをしていたとしたら、ガチャガチャと皿を置き、泡のついた手をジャーっと流し…。

沢山の「普段と違う音」「飼い主のテンション」に犬も一緒になってパニック状態に陥り、興奮してしまうパターンです。子どもが居る家の犬にも多く見られます。

傷みからの吠え

「キャンキャン」という高い声や、「ヒーンヒーン」という震える鳴き声を出す事が多いです。

思わずしっぽを踏んでしまった、怪我、病気などがあります。

ストレス発散吠え

生活の中のストレスを、吠える事で発散させる犬もいます。散歩が物足りない、ご飯が足りない、お気に入りの場所が使えない。など理由は様々です。散歩に対する不満は大型犬に多く見られます。

過去にシベリアン・ハスキーが流行し、飼育の難しさから手放す人が多くなり社会問題となりました。

かつて雪山のそり犬として活躍したハスキーは、運動量も多い為、家庭で飼うには難しい部分が多いです。

また、ハスキーの特性として遠く離れた狼や仲間に遠吠えでコミュニケーションをとる、という事もあります。

社会化のある特性だからこそ、吠えやすい犬種だとも言えます。犬種によって、生活習慣や特性が合う家庭と合わない家庭があります。

犬と暮らすには、自分のライフスタイルに合う犬を選ぶ事も大事だと言えます。

飼い主が原因の無駄吠えもある

犬は「群れ」で生きる生き物です。ご家庭で飼われていれば「家庭」という「群れ」で生きています。

群れで生きる生き物にとって、序列というのは何よりも大事なもので、犬のしつけは、犬よりも飼い主が主導権を取れたかどうかで決まるといっても過言ではありません。

要は、犬が飼い主の事をリーダーと認識しているかが最も重要なのです。

飼い主が原因となるので多いパターンとして、犬がリーダーになってしまっている家庭があります。

その場合、犬は家族という群れを守ろうとする縄張り意識から吠えてしまっているので、飼い主が主導権を取れていないが為に起こる、警戒心からの「吠え」ということになります。

飼い主が原因の場合、どうすれば良いのでしょう?

根本的に解決するには、犬にリーダーとして認められなくてはいけません。これは生活の中で徐々に、自然に。

時間をかけて、群れの中のリーダーは自分なんだということを理解させます。

例えば散歩のときに、先を歩かせない、こっちに曲がりたい、と主張してきても飼い主が主導権を持ち散歩する、などなど。家での遊びの中でも同じ事が言えます。

オモチャを投げたり、引っ張りっこしたり、遊びの最後は必ず飼い主のタイミングで終わらせます。これも主従関係を学ばせる一つの方法です。

服従訓練と言い、食餌の際におすわりをしっかりさせないと食べさせないなど、日々の生活の中で理解させていきましょう。

飼い主との主従関係を改善させる

日向ぼっこ中の犬

根本的に関係性を見直すというのは、結果が出るのには時間がかかります。

来客時、近所に対しての騒音や無駄吠えで悩む方はとにかく「今」改善したいのだと思います。

では、「今」困っている無駄吠えに対してどう向き合っていけばいいのでしょうか。

大事なのは主従関係を改善させる為のトレーニングです。

吠えたら怖い事が起こると理解させる

子どもが言う事を聞かない時に「鬼から電話がかかってくるアプリ」が流行したことがあります。

それと同じ原理で犬に教え込むのは効果的です。

来客を装い、家のチャイムを鳴らし…吠えたら水鉄砲でお尻を濡らす、カーテンを揺らす、バンッと大きい音を鳴らす。

お酢を希釈した酢スプレーを気付かれない様にシュッとする、という方法もあります。

ツーンとした匂いが犬の「嫌だ」という気持ちを誘います。無駄吠え防止・抑制のグッズとして売られている防止首輪も同じく、天罰方式という理論です。

昔は電流刺激が主流だったため、問題視されていましたが、いまは振動や音が鳴るものが主流です。

吠えなかったら良い事が起こると理解させる

矯正トレーニングが順調になり、吠えが減ってきたと感じたら「吠えなかったらごほうびをあげる」というのも効果が高いです。

いつも吠えている場面で、吠えなかったら目いっぱい褒めてあげてください。

プロにお願いする

犬のしつけ教室や訓練学校にお願いし、主従関係更生カリキュラムの下で更生させる方法もあります。

これは劇的な変化を遂げる子も多いのですが、実は問題点もあります。その施設の先生やスタッフと主従関係を築いてしまうため「学校では良い子、家では元のまま」というパターンが起きてしまいがちなのです。

あくまで飼い主と犬との主従関係が更生されていないといけません。

中には、ある程度改善されてきた時点で飼い主も一緒に通うというところもあり、室内で散歩や、食餌をあげる時のしつけなどをしっかり教えてもらい、飼い主の意識改善もしていくというプランで行われています。

プロに任せるのは楽ですが、やっぱり最後には「飼い主との主従関係、信頼関係」を築き上げていかなければならないでしょう。

怒り方を変える

いつも同じ声の「ダメだよ」「ダメェッ!」は通用しません。

犬は声の高さで聞き分けていますので、いつもの声色と変え低音でしっかり怒る方法が効果的です。

言葉も長々話しても聞いていませんので短く「ダメ!」「いけない!」「NO!」です。

ストレス吠えの場合は、ストレスを取り除いてやる

散歩が物足りない場合は、散歩を増やす、ルートを変える。

食餌に対する要求は、フードを変える、食べ応えのあるフードにする、など。

ただし、ストレスから吠えていた事に対して改善してあげると、それが当たり前となり要求吠えに変化する事もあります。

これは前述した様に、飼い主と犬の主従関係を見直すことが根本解決に繋がります。

老化による吠えもある

認知症からの老犬の「吠え」もあり、解決が難しい問題として取り上げられる事が多くなっています。

視力が極端に落ちる為、恐怖心や警戒心も強くなり、吠えに繋がる事もあります。

また、食餌を食べた事を忘れてしまい「ご飯が欲しい」と要求吠えを繰り返す事も少なくありません。

昼夜問わず吠える様になり、子犬の様な「ワンワン!」では無く「ウォーゥ」という遠吠えが増えていく事もあります。

その為、近所からの騒音苦情や、近隣を気にする飼い主の精神的負担が大きいです。

まとめ

一言で「犬の吠え」と言っても、原因は様々ですが、その多くが、犬の心と深く関係しています。

まずは吠えがどういう種類のものかを探ること。そして、飼い主との主従関係と飼育環境を見つめなおす事も大事です。

犬が飼い主よりも上に立ってしまっている場合は、犬が迎えられた家(群れ)にリーダーが居ないと判断した可能性があります。昨今、犬はペット、愛玩動物という扱いでは無く、コンパニオンアニマルといわれる伴侶動物になりつつあります。

共に生活していくために、犬が暮らしやすい様問題行動を改善してあげるのは、群れのリーダーたる飼い主の使命です。

問題行動の矯正は、生活習慣とも根強く結びついていますから改善は容易くはありません。家族で、今一度「吠え」と向き合ってみてはいかがでしょうか?